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【永久保存版】ガルパ入門書【バンドリ! ガールズバンドパーティ!のストーリーの読み方】

Let's start "Band Life"!

初めての方は初めまして、thzaqです。

突然ですが、皆さんはガルパというスマートフォン向けアプリゲームをご存知でしょうか?
ガルパはメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』の一環であるリズム&アドベンチャーゲームバンドリ! ガールズバンドパーティ!』の略称です。
今回はこのガルパの”ストーリーの読み方”を紹介しようと思います。


…というのも、ありがたいことに以前書いたAve Mujicaの記事が非常に好評(預かり知らぬ場所で英訳されたり中国の掲示板で出回ってるレベル)でして、
thzaq.hatenablog.com

私の周囲でもこの記事を通してバンドリ自体に興味を持ってくれた人も多く、また2023年9月にMyGO!!!!!がガルパのプレイアブルになったのもあり「ガルパ何から読めばいいですか!?」という質問がひっきりなしに来るようになったので重い腰を上げた次第です。

「ガルパ何から読めばいいですか!?」ということは「パッと見でガルパをどう読めばいいか分からない」ということで、これは由々しき問題です。

もちろんガルパの読み方に決まりなど無く、何を選んでもそれぞれ固有の体験になるので自由に触れてよいのですが、それでも手引きが欲しいという方のために今回は私が推奨するガルパの読み方を紹介しよう!というわけです。

先に私の好みを表明しておくと、ガルパをインストールしたきっかけは元々声優の遠藤ゆりかさんが好きだったから、1番好きなキャラは湊友希那、1番好きなバンドはPoppin'Party、1番好きなCPはチュパレ、好きなイベントストーリー3選は『ガールズ・ビー・アンビシャス!』『例えばこんな脱げない日には』『ギャラクシー・ウェディング!』です。

また、今回は最低限の知識としてアニメ1期~3期&It's MyGO!!!!!を視聴した人向けに書いていきます。
「誰かに指図されると萎える!」「地雷!」という方はここでブラウザバックをお願いします。
前置きが長くなってしまったので、せっかちな人は「ガルパの読み方」に飛んでください。

ガルパの魅力について

まず、動機付けとして私の思うガルパの魅力を少し語らせてください。

それはズバリ『BanG Dream!の名のもとに異なる思想を持ったバンド・キャラクターたちの有機的な交流と成長を描いたストーリー』です。

バンドごと・キャラクターごとに命題が存在し、それらが少しずつ解決され、対比され、再定義されていく物語を楽しむゲームなのです。

また、イベントストーリーでは命題に深く関わるドラマチックな物語と並行して日々の日常も描かれます。
バンドの内外・学校の内外での日常=青春と、そんな日常の中で生まれる音楽生活に根付いたバンド活動であることも大切にされており、この"バンド"だけでなく女学生="ガールズ"がしっかりと描かれている点はガルパの大きな特徴です。
後述するバンドストーリー3章を超えてからはプロとアマチュア、大人と学生、一生と青春、その境目を垣間見るような展開で、特にAfterglowは現在進行形でその渦中にいます。
ラブライブ!におけるスクールアイドルが「スクール」あっての「アイドル」であるように、BanG Dream!におけるガールズバンドも「ガールズ」あっての「バンド」なのです。

上記の言い回しをするとガルパの魅力は
「ガールズ」も「バンド」も描くストーリー
と言えます。

ガルパの構造について

そもそもなぜガルパが読みにくいのかというと、その構造にあります。

ガルパには大きく分けて3種類のストーリーがあります。
メインストーリー
バンドストーリー
イベントストーリー
※カードエピソード*1
そして、それぞれ時系列でシーズン1・シーズン2・シーズン3に分かれています。

この区切りはPoppin'Partyの高校進級によるもので、シーズン1は作中の1年目シーズン2は作中の2年目シーズン3は作中の3年目となっています。

また現実の時系列で言うとシーズン1はサービス開始の2017年3月~2019年3月、シーズン2は2019年3月~2023年3月、シーズン3は2023年3月~2024年1月現在という感じでシーズン2のボリュームが非常に大きいのが特徴です。


ここで1つの疑問点が生じます。
アニメの時系列ってどこなの?


時系列、これがガルパの分かりにくいポイントその1です。

時系列

簡潔に答えると、アニメ1期はシーズン1の4月初頭~7月中旬アニメ2期はシーズン2の4月初頭~6月末アニメ3期はシーズン2の10月初頭~12月末『It's MyGO!!!!!』はシーズン3の4月末~7月末なのですが、熱心にアニメを見ていなかった方はきっと2期で香澄たちが進級していることも流し見してしまったのではないでしょうか。

付け加えるなら、アニメ3期の直後の晦日に舞台『We are RAISE A SUILEN~BanG Dream! The Stage~』があり、年が明けた年始に劇場版『BanG Dream! ぽっぴん'どりーむ!』があります。
アニメBanG Dream! Morfonication』はシーズン2のイベントストーリー『サマーサニーバスケット』で回想されていること、前任の理事長であること、長崎そよと若葉睦が中等部の夏服であることからシーズン2の夏休みだと断定できますが、fly with the nightを歌っていることからMorfonica2章『fly with the night』以降である必要があり、時系列的に不安が残る感じです。
アニメ『ガルパ5周年記念アニメ-CiRCLE THANKS PARTY!-』はあまりにも考慮すべき時系列が多いのですが、シーズン2の3月くらい(Roseliaツアー終了後~卒業前)に置いて多分問題ないです。

こう書くとアニメだけなら何とか時系列を整理できるのですが、ガルパ側は時系列の捻じれが深刻で、特に季節感のあるイベントストーリーなど時系列的に矛盾するものがいくつかあり、「時系列を気にすべき話」と「時系列に関して目を瞑るべき話」が混在してしまっています。

例を挙げるとポピパと花咲川1年生たちのお花見を描いたシーズン1の一番最初のイベントストーリー『SAKURA BLOOMING PARTY!』はポピパ結成(文化祭後なのでシーズン1の6月)と完全に矛盾していますし、シーズン2夏のRASの水着イベント『Feel×Heat×Beat!』もRASの六花加入(シーズン2の秋)と矛盾しているので水着イベントが成立するのはシーズン3です。

これらは季節の日常回なのでまだマシなのですが、RoseliaAfterglowの本筋を語る上で非常に重要なイベントストーリー『夕凪、pm5:45』にいたっては、シーズン2の冬にある『FUTURE WORLD FES.』以降であるRoseliaのメジャーデビューを描いたバンドストーリー3章『Sprechchor』以降の夏でありながら、シーズン2の3月の湊友希那世代の高校卒業前に行ったRoseliaの全国ツアー以前の夏である必要があり、どう考えてもRoseliaが1年留年していなければ説明出来ません。
また他のバンドも、FUTURE WORLD FES.から繋がるG.B.T.編は同じ理由で全て時系列が矛盾します。


なので、
ガルパの時系列はアニメを基準にしつつも2年目が2年分ある
くらいのゆるい考え方で大丈夫です。


ともあれ、2023年3月のサービス開始6周年から始まったシーズン3は、Poppin'Partyたちの高校生活最後の1年であると同時に湊友希那たち先輩組の大学生活の始まりであり、これだけ作中時間を進行させて"高校卒業"と"大学進学"を描いた点は他のコンテンツでもあまり類を見ないガルパの魅力のひとつだと思います。

もっとも、姉妹コンテンツである『D4DJ』と『プロセカ』も既に時系列の進行と進級を描いていますし、2年進級して先輩格が卒業という点では『ご注文はうさぎですか?』『八月のシンデレラナイン』『響け!ユーフォニアム』などの人気作も同レベルで時系列が進行しています。
現在話題沸騰中の『Link!Like!ラブライブ!』はリアルタイムコンテンツなので、蓮ノ空の現2年生は来年3月には卒業してしまいます。
私も2年後には三十路です。
時系列の進行って怖え~!

ストーリー

次にメインストーリーとバンドストーリーとイベントストーリーの3種類の説明ですが、まず身も蓋もない事から言わせてください。


メインストーリーが全然メインストーリーじゃない


これがガルパの分かりにくいポイントその2です。

正確に言うと「メインストーリー・バンドストーリー・イベントストーリーがお互いにどう関わっているのか読み込まないと分からないし、メインと呼ぶべきはバンドストーリー」ですね。

バンドストーリーは各バンドの本筋であり、あえてメインと呼ぶならこちらになります。
初期5バンドは3章まで存在し、追加バンドのMorfonicaとRAISE A SUILENは2章まで、MyGO!!!!!は1章まで存在します。
また、シーズン2だから2章、シーズン3だから3章…という訳ではないので注意してください。

イベントストーリーは月3回のペースで開催されるイベントで公開されるもので、これは他のアプリゲームから想像しやすいと思います。

ですが、メインストーリーといえば名前からしてアプリをインストールして多分最初に触れるものにもかかわらず、ファンの立場でも説明が難しいのです。


そもそも、ガルパのメインストーリーは3年で実質的に廃止されています。

元々メインストーリー(シーズン1)はサービス開始時に初期5バンドのバンドストーリー1章と共に半分程度が公開され、その後約1年かけて毎月更新という形で残りが公開されました。

そしてバンドストーリー1章ではそれぞれのバンド結成と最初の課題解決が描かれています。
(アニメ1期でバンド結成が描かれたPoppin'Party・バンド結成が中等部時代のAfterglowの場合はキャラ紹介をしつつ基礎的な課題解決が描かれています。)

メインストーリー(シーズン1)はこのバンドストーリー1章を経た初期5バンドが、アニメ1期最終話で閉店したライブハウス『SPACE』の系列店である新ライブハウス『CiRCLE』を盛り上げるためのプレイベントで5バンド合同の『ガールズバンドパーティ』を結成する……という話で、これが前提にあるので以降イベントストーリーなどにて別バンド同士でも全員顔と名前が一致した状態になっているというわけです。
つまりバンドストーリー1章前提の内容なので「とりあえずメインストーリー(シーズン1)から読み始めても全然面白くない」のです。


メインストーリー(シーズン1)のオチは「5バンド思想はバラバラだけど音楽を楽しむ気持ちは一緒」という感じで、確かに本質ですし、特に1章時点のRoseliaに対しては重要なイデオロギーなのですが、正直今のストーリープール全体の中では積極的に読むべき話ではないです。長いので……
最初期のストーリーということもあり仕方ないのですが口調や呼称や性格がブレていて現行ファンからすると読むに耐えない箇所もあります。

なので
・Poppin'PartyとAfterglowPastel*PalettesRoseliaハロー、ハッピーワールド!『ガールズバンドパーティ』を結成した
・「5バンド思想はバラバラだけど音楽を楽しむ気持ちは一緒
・でも湊友希那と氷川紗夜は1章時点なので音楽が楽しいと素直に言える状態じゃない
AfterglowRoseliaの因縁はここから始まる
・白鷺千聖と瀬田薫、白鷺千聖と松原花音の絡みがある
・山吹沙綾たち商店街組のコネクションがある
くらいを押さえておけば一旦スルーして大丈夫です。


ちなみに2章以降のバンドストーリーはイベントストーリーと同じように月々のイベントのひとつとしてストーリー追加されていきます。(例外ありますが)

また、Poppin'Partyのバンドストーリー0章は後から追加されたものでアニメ1期とだいたい同じ内容です。


次にメインストーリー(シーズン2)ですが、こちらは2019年3月の2周年アップデート(アニメ2期の放送終盤)で作中の進級&シーズン2への移行に際して追加されたもので、こちらも1年かけて毎月更新という形で公開されました。

メインストーリー(シーズン2)の内容はシーズン1を経て大ガールズバンド時代が到来しCiRCLEも人気の箱になったものの、長続きしないバンドが続出。
その中に当時まだ未プレイアブルだったMorfonicaの倉田ましろもいて、そんなビギナーたちに改めて「音楽は楽しい」を伝えるために『ガールズバンドパーティ』が再集結するというもの。
(そんなMorfonicaに憧れて結成されたCRYCHICが長続きしなかったのは悲しいものがあります。)
このメインストーリー(シーズン2)最終話が公開された後の2020年3月(アニメ3期の放送終盤)の3周年アップデートでMorfonicaのプレイアブル化&バンドストーリー1章公開という流れでした。

メインストーリー(シーズン2)はMorfonica追加までの導入としても、『アニメ1期 8話』と『It's MyGO!!!!! 10話』の間にある歴史としても是非読んで欲しい内容ですし、バンドストーリー2章以降なのでクオリティもこなれています。
こちらは確かにメインストーリーっぽいメインストーリーなのですが、面白みはやはりバンドストーリー2章や色々なイベントストーリーを経て成長したキャラクターたちが次の世代のために頑張るという所なので「とりあえずメインストーリーから読む」はメインストーリー(シーズン2)でも適切ではないのです。


メインストーリー(シーズン3)は2023年3月の6周年アップデートで作中の進級進学&シーズン3への移行に際して追加されました。
ただしシーズン2までとは違い、イベントストーリーと同じようにイベントの形で公開されました。

メインストーリー(シーズン3)の内容は7バンドそれぞれの新生活を描くというもので、重要な情報や現行のイベントストーリーに繋がる話は沢山あるものの、ガールズバンドパーティとしての大きなストーリーは無く、7バンドの足並みを揃えるのが目的となっています。
こちらは後述するシーズン2最後のイベントストーリー『卒業 ~3月の空は青く澄んで/未来へ~』まで辿り着いたプレイヤーがその次に触れるべきもので、やはり「とりあえずメインストーリーから読む」は全く通じません


以上より、ガルパの「メインストーリー」は日々の基本となる「イベントストーリー」と区切りの大一番となる「バンドストーリー」の補佐的なものでしかなく、一般的な"メインストーリー"の概念とは乖離しているのです。


……ここまで時系列とメインストーリーについて長々と書きましたが残念ながら本題はここからです。
そしてこれこそがガルパの分かりにくいポイントその3であり、新規参入に対する致命的な壁です。


それは

イベントストーリーが多すぎる


そう、イベントストーリーが多すぎる!!!!


マジで多すぎる。
7年前となると記憶が曖昧なものもあるので、このブログを書くために3ヶ月程かけて改めて全てのストーリーを読み返したのですが、やっぱり多すぎる。

イベントストーリーの総数は2024年1月現在で約230本、1本あたり手動なら20~30分、オートなら40~50分くらいあります。

にもかかわらず、これまで「ガルパ何を読めばいいですか?」という問いには「全部読め」としか言えなかったのです。
何故かというと7年という非常に長いスパンで文脈が縦横無尽に散りばめられているので、ビギナーに対して逐一説明していられないからです。

また、バンドストーリー等の本筋から遠い、所謂日常回でもそこで生まれた関係や経験が重要な場面で活きることもあります。
例えば2019年2月のイベント『The Whitest Day』は会話劇として面白いとはいえ正直本筋に関わる可食部は殆ど無いのですが、ここで白鷺千聖と花園たえがある程度親密になっていないとガルパの大サビである『卒業 ~3月の空は青く澄んで/未来へ~』の内の3話『縁』の会話は成立しません。


しかし今回はこの「全部読め」を一旦引っ込めます。


イベントストーリーを全て読むということはTCGに例えるならばカードプール全てのテキストに目を通すようなこと。
そう考えると
「ガルパに含まれる様々な物語から一部を切り取る=デッキを作ることは可能なのではないか?」
「本筋に関わるものに絞った勧め方も可能なのではないか?」

そんな感じでガルパの読み方の提案をするのがこのブログというわけです。

ガルパのバンドについて

さて、前項が綺麗にまとまったのでガルパの読み方の提案に移りたい所ですが、その前にガルパの各バンドについて紹介しようと思います。

というのも、ガルパのバンドにはそれぞれ特色があり、異なる思想を持っています。
様々な物語を読んでいくにあたり、登場人物たちがそれぞれ何を志向しているかを知っておいた方が「好きそう」な物語から触れやすいと思います。

また、アニメのみを見てきた方々はぶっちゃけ「Poppin'Party」「RAISE A SUILEN」「MyGO!!!!!」以外のバンドがどんな存在なのか分からなかったと思います。

具体的には、アニメ2nd seasonの4~6話で「ハロー、ハッピーワールド」「Pastel*Palettes」「Afterglow」がそれぞれフィーチャーされたものの、どういうノリかくらいしか分からなかったのではないかと思いますし、アニメでずっと強キャラぶってる「Roselia」も具体的にどう強いのかはなんとなくしか分からなかったのではないのでしょうか。
「Morfonica」も、なんとなくMorfonicationを見ただけでは雰囲気しか伝わらなかったと思います。

もちろん、本筋はガルパに書いてあるのでアニメとしてはノリや雰囲気が伝われば十分ですし、ガルパ込みだと上記はどれも面白みのあるアニメになっています。

無論、ショートアニメ『ガルパ☆ピコ』や各種コミカライズ等を見た方はある程度キャラが分かるかもしれません…

ですが、ここではちょっと真面目に紹介してみます。
先に断りますがポピパが一番難解なのでポピパだけとても長くなってます。残りは簡潔なので少し耐えてください……

Poppin'Party

Poppin'Partyはほぼ初対面の女子高生5人が偶然を重ねて結成したバンドです。
その経緯はアニメ1期で十分に語られているのであえて書く必要は無いでしょう。

Poppin'Partyが取り扱っているテーマは「繋がりと相互作用」「直感と自由」「日常と永遠」「奇跡と偶然」「奇跡と運命」です。
多くない?と思うかもしれませんが、1語で表すなら「CiRCLING」という表現になります。

……やっぱりこれだと分からないですよね?
Poppin'Partyは主人公格にもかかわらず全バンドで最も観念的なバンドで、それでいてバンドリのイデオロギーの根幹になっているのが新規ファンからすればかなり難しいと思います。

「繋がりと相互作用」というのは、人のが広がり互いに影響し合い循環していく円のイメージです。
これはガルパで描かれる人々の有機的な交流そのものでもあります。

繋ご!世界のぜんぶ
出会お!旅から旅へと
紡ご!イマジネーション


Dreamers Go! / Poppin'Party

少しは返せているのかな?
もらったぶんの優しさを


大好き! / Poppin'Party

環(わ)! 受け取った愛は
巡り続ける世界への愛だ
(きっと)夢は (巡り)回り続け
CiRCLING! 永遠の途中───


CiRCLING / Poppin'Party


「直感と自由」というのは、本能・素直な今の気持ちと初期衝動に従う純粋な推進力です。
ここでの初期衝動とは夢を抱いた瞬間の衝撃であり、ずっと探していたものに出会ったような感覚であり、アイデンティティを形成する原風景です。
英語では「initial impulse」と書きます。

initial ホンキの自分譲れなくて
衝動 指先からEmotion!


イニシャル / Poppin'Party

まぶた閉じて 諦めてたこと
いま歌って いま奏でて
昨日までの日々にサヨナラする


STAR BEAT~ホシノコドウ~ / Poppin'Party

予感は始まる どこにだって行ける
やわらかで囚われない気持ちを
追いかけよう 私たちのFreedom


Freedom / Poppin'Party × 夏希 from CHiSPA

鳴らす(響く!) 踊る(はねる)!
叫ぶ(生きる!) 生き続けていく


CiRCLING / Poppin'Party

ちなみにアニメでも度々登場する「ホシノコドウ」とは、戸山香澄の初期衝動そのものです。
かつての戸山香澄が見上げた星空に何かが始まる予感を感じ、高鳴った戸山香澄自身の心音であり、その心音と星の瞬きが共鳴する事で世界と繋がった感覚にトリップした瞬間です。
瞬き=キラキラ、心音=ドキドキというわけです。
セットにした「キラキラドキドキ」はバンドを始める前の戸山香澄が探していたものであり、その後も度々登場しますが、意訳すると「夢を見ている・希望を持っている状態、そしてその状態を引き起こすもの・こと」のような意味です。これについては後ほど改めて説明します。

トクン、トクン、トクン、トクン、トクン───。
自分のためだけに奏でられたような、心地のよい音が聞こえた。
香澄はそれを、星のコドウだと思った。
星たちが瞬くときに鳴る天上のコドウが聞こえる。


(中略)


歌声は、夜空に拡散していった。
星の光と歌声とコドウが溶けあう気がして、香澄は何度も瞬きをした。
夢見心地だった。


(BanG_Dream! 1・178‐185)


「日常と永遠」というのは、変化に富んだ日々/循環する日々だからこそ浮き彫りになる残り続けるもの記憶に対する、ある種の祈りです。
私が時々「ポピパは日常系」とボソボソ呟いてるのはこれです。

急に嬉しくって
抱きついたり抱きつかれたりでもどうしよう
帰りたくないお願い あと少しだけ
ベンチに腰かけてあと五分だけ
ねえ
夜を止めて 夜を止めて


ガールズコード / Poppin'Party

ねえ 夏のタイムカプセルは
今もここで眠る。
いつまでも…


夏に閉じこめて / Poppin'Party

何年経っても 何時代になっても
変わらないと思える(不変のミラクル)
たぶんそんな 記念日!


アニバーサリー / Poppin'Party

きっと終わらない
いつまでだって
青春 To Be Continued


青春 To Be Continued / Poppin'Party

(こんな日には)祈らせてくれるかな?
"Forever lasting friends!"


CiRCLING / Poppin'Party


「奇跡と偶然」というのは、偶然生まれたを大切にすること─── 想像できなかった事象を受容すること─── により、その偶然が奇跡になっていくというイメージです。
市ヶ谷有咲が小学時代に貼った星のシールを戸山香澄が偶然見つけてRANDOMSTAR(偶然の星)と出会う所からBanG Dream!の物語は始まりました。

小さな 偶然が
集まり 育ったら
"奇跡"になるんだね


SAKURA MEMORIES / Poppin'Party

幾千もの偶然が重なる先に
奇跡が生まれるのならば(Starting!)
誰かと誰かが出会いながら 音を奏でる物語へと
(鳴らそう 誘いの鐘を)
どこまでも遠く 高鳴れ!


RiNG A BELL / Poppin'Party

ひとつの場所 ひとつの道
ひとつの愛 ひとつだけ選んだ夢───
(Festa day)たくさんのひとつがここに
(Special day)うねるように集まっている


CiRCLING / Poppin'Party


「奇跡と運命」というのは、循環の中に起きる奇跡はある種の必然性を帯びる、という不可逆的なカルマにより現状を解釈する───"今"を運命として受容する───イメージです。
なお、Poppin'Partyには前世(『BanG_Dream!』)で繋がったメタ的な縁があります。

わたしたちが つながってる意味
たぶん…偶然じゃない
だって音を合わせたら───


キズナミュージック♪ / Poppin'Party

この偶然は偶然じゃない
みんなで作り出したもの
世界中のヒントをかき集めてみたら


キミが手にしたもの 今も その手のなか
さあ(始まる)これは(もう)運命


キラキラスター! / Poppin'Party

「違う夏、さがしてた?」
「それぞれ夢、追いかけた?」
「でもホントにそうなのかな?」
「やっぱりね、いつかは……」
「……出会ってたのかな?」


八月のif / Poppin'Party

ねえ、始まりはきっと
遥か昔から ずっと
神様が決めてたこと
なんて思うほど素敵な毎日


イントロダクション / Poppin'Party

神様 約束どおり
私たち ひとつになれました


CiRCLING / Poppin'Party

もう直球で”そういう助動詞”として使われてたりもします。

例を挙げていくとキリがないほどにこれらのテーマがPoppin'Partyのあらゆる歌とストーリーには散りばめられており、その核にある楽曲が『CiRCLING』です。
『CiRCLING』はガルパ5周年記念アニメのED1やFILM LIVE 2nd Stageで使用されているものの、アニメのみ見てきた方々にはいまいちピンと来ない楽曲だと思いますが一度「CiRCLING 歌詞」で検索してみてください。本当に名曲です。


www.youtube.com


Poppin'Partyの夢……最終目標は「世界との一体化」です。

……こいつは何を言ってるんだと思うかもしれませんが、先述の「CiRCLING」に自然崇拝やアニミズムに近い原始宗教的なエッセンスが含まれているのは私の長々とした説明でなんとなく伝わっているのではないでしょうか。

元々Poppin'Partyの明確な目標は「とりあえず武道館」でしたが、それはアニメ3期で達成され、その後『ぽっぴん'どりーむ!』とバンドストーリー3章にてホシノコドウが改めてフィーチャーされ「星までCiRCLINGの輪を広げること」に再定義されました。
数万光年かけて星から届いたホシノコドウを星に返すことで真の循環が達成されるというわけです。
星のシールはピアノ教室に通っていた小学生の有咲のキラキラドキドキそのものであり、それが高校生の香澄に届いたということは時空を超える力があるということです。
また、アニメ3期12話で香澄が「あの時よりずっと大きくなってる」「ホシノコドウはみんなだった」と語っているとおり、キラキラドキドキしている=夢を抱いている人々と繋がり共鳴することでホシノコドウは増幅していきます。
そのためCiRCLINGの輪が広がっていき地球のすべてと繋がる=世界と一体化することで星まで届く、というスンポーです。

このように書くと途方もない夢に聞こえるかもしれませんが、実際にポピパの思想が伝播していく過程と人の壁を超える音楽の力はシリーズを通して描かれており、スケール感はあながち間違っていません。
学生バンドの身の丈にあった活動をしながらも壮大な夢を持っているポピパの物語は夢は夢じゃないと歌う旅なのです。

BanG Dream!はPoppin'Partyを通して無限の可能性を持った音楽そのものを描こうとしているのだと私は思います。

Roselia

Roselia湊友希那が自分の目的を達成するために召集したバンドです。
その経緯はRoseliaのバンドストーリー1章にて描かれています。
経験者が多く、結成当初からカリスマバンドとしての道を突き進んでいる存在です。

Roseliaが取り扱っているテーマは「誇り」です。
「自ら主体的に選択したという事実」と「他者と交わした約束」に重きを置く契約主義的な思想があり、それらを積み重ねてきた過去を背負うことで"誇り"としているバンドです。

Roseliaの最終目標は「高み」です。
元々は「湊友希那の父の因縁であるFUTURE WORLD FES.」でしたが、FUTURE WORLD FES.を超えることで純粋なRoseliaの高みとして再定義されました。
以降はバンドストーリー3章にてメジャーデビューし、シーズン3現在はプロミュージシャンとして活動しています。

「高み」という夢はやはり観念的ですが、ポピパなどと比べると分かりやすく「一般的に成功しているバンド」であり、RoseliaBanG Dream!”バンド”代表として描かれていると思います。

Afterglow

Afterglowは中学2年生の進級時、小学校からずっと同じクラスだった幼馴染5人のうち美竹蘭が1人別のクラスになってしまい、5人一緒にいる"いつも通り"を守るために結成したバンドです。
その経緯はイベントストーリー『夕影、鮮明になって』で描かれています。*2
シーズン1時点ではポピパと同様に身の丈に合った活動規模であり、一般的にイメージできる学生バンドな存在です。

Afterglowが取り扱っているテーマは「青春」です。
ずっとこのままだと思っていた学生時代は一瞬で過ぎ去るジュブナイルであり、その成長と変化に戸惑う日々=青春真っ只中のバンドです。
青春そのものだからこそ高校3年に進級したシーズン3現在は"青春の終わり"に直面し大変な事になっていますが…

Afterglowの最終目標は「伝説に残る最高のライブ」です。
元々「いつも通りで居続けること」「とりあえず武道館」等の目標がありましたが、FUTURE WORLD FES.のRoseliaのステージに触発され改めて定義されました。

青春時代の永遠性一過性、その狭間で激しく感情をぶつけ合うAfterglowは、”バンド”代表のRoseliaに対する”ガールズ”代表として描かれていると思います。

Pastel*Palettes

Pastel*Palettes事務所によって結成された新人アイドル達のバンドです。
その経緯はバンドストーリー1章にて描かれています。
アイドルバンドは現実にも存在しますが、ゴールデンのバラエティ番組に出演するほどまでメジャーになっているのは「大ガールズバンド時代」という設定ならではのファンタジー的な存在と言えます。

Pastel*Palettesが取り扱っているテーマは「」です。
夢と言っても突拍子もないものではなく、努力し、成長し、見据えた目標の先にある確かな未来としての夢です。
アイドル業界は夢の世界、自ら夢を見ながら人々に夢を与えるアイドルとしての在り方を模索し、切磋琢磨するのがPastel*Palettesの日常です。

Pastel*Palettesの最終目標は「アイドルの神話になる」です。
元々は「夢の中で夢を見つける」でしたが、メンバー全員が夢を見つけた事によりバンドストーリー3章にて再定義されました。
他のバンドの多くが目的=夢を持って結成されているのに対し、Pastel*Palettes受動的に結成されたバンドであるため、元々はバンドとして夢を見つける事自体が目標でした。
「神話になる」とは、日々始まり続け・終わり続け・常に品評され・切磋琢磨する”アイドル”という終わらない物語に名前を刻むことです。
シーズン3現在はアイドルの生存競争に直面し、神話になることの重みと向き合っています。

原則として加齢と共に終わりが訪れる一過性と人々の心に残り続ける永遠性の両側面を持ったアイドル、そんな眩しい夢とシビアな現実の狭間の職業を通し、夢という概念について描くのがBanG Dream!におけるPastel*Palettesの立ち位置だと思います。

ハロー、ハッピーワールド!

ハロー、ハッピーワールド!弦巻こころに巻き込まれて結成されたバンドです。
その経緯はバンドストーリー1章にて描かれています。
「世界を笑顔に!」が掛け声であり、笑顔のためには「バンド活動」と称して人助けや地域活性化などの音楽以外の活動も行っている点で特異なバンドです。

ハロー、ハッピーワールド!が取り扱っているテーマは「ヒーロー」です。
人々の笑顔の為ならなんだって可能にしてしまうハロー、ハッピーワールド!は人々が夢見るヒーロー像そのものです。
「笑顔」「ヒーロー」と書くと他のバンドとは毛色の違いを感じるかもしれませんが、作中で笑顔に対して「キラキラ」という言葉が使われているところに戸山香澄を代入することで、夢を見ている=キラキラドキドキしている状態=笑顔と導く事ができます。
そして夢を見ることは勇気の要ることでもあり、挫折や諦めで夢は見えなくなってしまいます。
弦巻こころが「勇気なら私があげるわ」や「笑顔を思い出させる」という言い回しをしている通り、ここでいう"笑顔"は主体的なものなのです。
つまり、ハロー、ハッピーワールド!は人々の笑顔のために夢を守り勇気を与えるヒーローというわけです。
また、ステージでは着ぐるみのミッシェルに身を包む奥沢美咲と舞台少女である瀬田薫は変身ヒーロー的存在でもあります。

ハロー、ハッピーワールド!の最終目標は「世界を笑顔にすること」です。
この目標は一貫していますが、バンドストーリー3章にてそのメソッドが「人はそれぞれ楽しいことが違うから世界中の人たちの楽しいこと探しをする」から相互扶助的な手法に再定義されています。
途方もない夢に思えますが、キラキラドキドキ=笑顔を準用すると音楽を基準にしたPoppin'Party人を基準にしたハロー、ハッピーワールド!でゴールはほぼ一緒ということになります。
ハロー、ハッピーワールド!シーズン2までで様々な苦難を乗り越え、その辺の人なら余裕で笑顔にできるように成長したので、シーズン3現在は怨念を持った相手怨霊の様な一筋縄では笑顔にならないものと相対しています。

無限の可能性を持った音楽の力はバンドリ内でも様々に描かれていますが、その音楽を生み出しているのは他ならぬ人間であり、演繹的に考えれば人間の可能性とも言えます。
"音楽の力"を反転したときに見えてくる人の力について描くのがBanG Dream!におけるハロー、ハッピーワールド!の立ち位置だと思います。

RAISE A SUILEN

RAISE A SUILENはプロデューサー・チュチュのスカウトにより結成したバンドです。
その経緯は漫画『RAiSe! The story of my music』やその一部が舞台化した『We are RAISE A SUILEN~BanG Dream! The Stage~』にて描かれており、アニメでは六花の加入しか描かれていません。
特に漫画はRAISE A SUILENをしっかり語る上では必須パーツですので余裕があれば是非触れて欲しいものです。

アニメで描かれている通りRAISE A SUILENは自主プロデュースながらマーケティングをしっかり行っており、キャパ1000のdubを常時埋めることができる駆け出しの学生バンドの身の丈から外れた存在です。

RAISE A SUILENが取り扱っているテーマは「他己承認」です。
才能が無く身体的ハンデのある自分に絶望していたチュチュも、サポートとして一線を引き仕事に徹していたレイヤも、サポートで自分の音を受け入れられず苦しんでいたマスキングも、素の自分の居場所を探していたパレオも、メンバー探しに奔走していたロックも、存在意義を他者に委ねている点で似た者同士です。
これらはRAISE A SUILENの結成によりある程度解決したものの根底には未だに他己承認に関する問題が横たわっており、ガルパでも現在進行形でパレオがその壁に当たっています。
またチュチュの「RASを認めさせる」というセリフの通り、個人ではなくバンドとしても"認められる"ことがテーマになっています。

RAISE A SUILENの最終目標は「Change the World」です。
世界を変えるというのは「内面的な世界」と「他者の存在する文字通りの世界」の二段構造で、メンバー個々人の内面的な世界の変革はBeautiful Birthday*3により一旦達成し、以降は自分たちが自分たちのまま最強のバンドになるために文字通りの世界を変革することが目標になっています。
シーズン3現在はバンドとして残されていた課題が浮き彫りになっており、「Change the World」の重みと悪戦苦闘しています。

BanG Dream!におけるRAISE A SUILENの立ち位置は「音楽で世界は変えられる」という"音楽の力"の一側面だと思います。

Morfonica

Morfonicaはガールズバンドパーティのライブを見た倉田ましろがバンドに憧れたことをきっかけに結成したバンドです。
その経緯はバンドストーリー1章にて描かれています。
メンバーは名門のお嬢様学校「月ノ森女子学園」の生徒たちで構成され、バイオリン以外はほぼ初心者です。
(演者的にはバイオリンのAyasaさんはプロミュージシャンですし、ドラムのmikaさんもMorfonica始動前から大橋彩香櫻川めぐ林鼓子のドラム講師としてバンドリに関わっている大師匠です。*4

Morfonicaが取り扱っているテーマは「自己承認」です。
メンバー全員が今の自分が嫌いだったり満足していなかったりで自分を認めていません。
楽天的な性格の桐ヶ谷透子でさえ、飽くなき自己実現の欲求がバイタリティになっています。
そんな5人に対して月ノ森女子学園の校訓である「貴方の輝きが道を照らす」がキーワードになっており、それぞれが自分の輝きを見つける=好きになれる自分を見つけるために音楽をしています。

Morfonicaの最終目標は「輝く景色に辿り着くこと」です。
これは「貴方の輝きが道を照らす」の延長で、個人・バンドとして「なりたい自分」に変化するという意味です。
バンドのモチーフがモルフォ蝶なので、羽化のようなイメージでしょうか。

BanG Dream!におけるMorfonicaの立ち位置は「音楽で自分は変われる」という"音楽の力"の一側面だと思います。

MyGO!!!!!

アニメを見ているならMyGO!!!!!については説明不要でしょう。
居場所を失った少女たち=文字通りの迷子のバンドで、テーマはまだ断言できませんが「相互扶助」「アイデンティティ」「喪失」あたりでしょうか。
ここでの相互扶助は生存戦略*5と同義です。

流行りの歌はいつも 僕のことは歌ってない
ねえビジョンの中から 笑いかけないで


迷星叫 / MyGO!!!!!

MorfonicaやPastel*Palettesなどのバンドやアイドルを仮に心のインフラと呼ぶなら、そこから零れてしまうような者も存在し、そんな者同士でも「並び歩くことはできる」と歌うのがMyGO!!!!!です。
歌詞に登場する「平行線」の根底には人と人が決して交わらない相互不理解があるのです。
また、喪失と言っても自分の中から消えてしまうものではなく「抱えて生きる」と歌っているように胸に残し続け、その積み重ねでアイデンティティが形作られているという理屈であり、だからこそ「抱えているものが違う」=相互不理解とも歌っています。

MyGO!!!!!の最終目標はアニメで語られている通り「一生バンドをすること」です。
この一生がどれだけ重い言葉かは自明ですが、これはガルパ全体に対する問題提起にもなっています。
バンドに限らずアイドルものやスポーツものなどの作品の終わりがどこにあるのかというのは難しい問題で、ガルパの場合は大学進学やメジャーデビューが描かれたことにより様々な選択肢が生れました。
特にシーズン3ではバンドを続けることの難しさが様々に描かれており、そんな中で"一生"と言い切るのは荒唐無稽な夢に思えるかもしれません。
ですが「夢は夢じゃない」と歌うのがBanG Dream!なのです。

Ave Mujica

2024年1月現在はガルパに未実装なAve Mujicaについても少し触れます。
とはいえAve MujicaはIt's MyGO!!!!!のみではよく分からなかったと思います。
詳細は過去記事に書いてありますので是非。
thzaq.hatenablog.com

記事の内容通りAve Mujicaの最終目標は「人形化による内面的世界の破壊」……だと思っていたのですが2024年1月27日の『Ave Mujica 1st LIVE「Perdere Omnia」』にてその先、即ち"破壊後"について語られました。
繰り返すマスカレードとプレリュードにより月の歯車が巻き直され続けることによって、過去を積み重ねずに何度も新生するのが人形化の理論でありMyGO!!!!!の「一瞬一瞬で一生*6」の真逆の立ち位置なのですが、月の満ち欠けに一時の命を預けているその人形がどうやら永遠を望み始めているようなのです。
詳しくは親愛なるフォロワーが爆速で記事にしていますのでライブに参加しなかった人は是非。

何者にも縛られないために糸を切り人形になったAve Mujicaは月に命を預けることすら否定しようというのです、じゃあどうするんだよよいうのは具体的には分かりませんが…
ともあれライブの内容に従うならばAve Mujicaの最終目標は「月の破壊」ということになります。《岩石の巨兵》*7かよ!
まあ星を見るのに月は邪魔ですからね。全然フォローになってませんが。

変身した自分たちを保つために世界の側を破壊するのはRAISE A SUILENの「Change the World」に近いかもしれません。
この辺りはアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』での注目ポイントだと思います。

ガルパの思想について

ガルパ3周年記念サイトより

ここまで読んでいただいた通りガルパは色々な物語が集合した群像劇です。
そして魅力の一つに「対比」と書いたように、それらを比較することでガルパ……ないしBanG Dream!にある一貫したイデオロギーが見えてきます。

それは「最も重要なのは"今"」です。

今と向き合い今を受け入れ今を全力で生きる
あらゆる文脈が"今"に収束する作りになっていて、逆に"今"を蔑ろにするものがトラブルになっています。
ストーリーを読むにあたりこの点に注目していると色々と理解が早いと思います。

そしてガルパではこのイデオロギーを表現するため様々なミームが登場します。

戸山香澄の「キラキラドキドキ」はホシノコドウに似た感覚で「何かが始まる予感」と作中で説明されています。
また、戸山香澄は「バンドに出会うまでキラキラドキドキを探していて、バンドを始めて以来は(トラブル時以外)ずっとキラキラドキドキし続けている」と言っています。
なのでPoppin'Partyとして存在しているだけでキラキラドキドキしている訳ですが、重ねて何かのモノやイベントごとに対してもキラキラドキドキすると表現しています。
もちろん悪いことが始まる予感としては使われていないのでキラキラドキドキは「夢を見ている・希望を持っている状態、そしてその状態を引き起こすもの・こと」と言い直すことができるでしょう。
「キラキラ」「ドキドキ」「何かが始まる予感」は類語も含め、戸山香澄に限らず他のキャラクターのセリフでも意図的に使用されており、特に大和麻弥による説明が分かりやすいです。





つまりキラキラドキドキは夢に向かう今この瞬間を肯定する言葉なのです。

キラキラドキドキの正しい意味を踏まえるとIt's MyGO!!!!!に対する「キラキラドキドキしていない」という言い回しは不適切です。
なぜなら高松燈と千早愛音が出会った時点でキラキラドキドキは始まっているのですから…

倉田ましろの「輝く景色が見えた」もキラキラドキドキとほぼ同義です。

シセン(都築詩船オーナー)の「やりきったかい?」はほぼそのままの意味ですが、やりきった状態とは妥協も慢心もせず今を全力で生きている、アクセルをベタ踏みしているような状態です。
なので「やりきったかい?」は"今"に向き合うための問題提起として扱われています。
アニメ1期のシセンの台詞で印象的に使われていたので馴染みのある言葉かもしれませんが、ガルパでは類語も含め、要所で使われているので注目してみてください。


チュチュとレイヤの「想像を超えろ」も、想像以上を実現するためには"やりきる"しかないので、これもほぼ同義です。
"偶然"や"奇跡"が予想外の事象であるならば、それらを意図的に引き起こすメソッドが「想像を超える」と言う事ができるでしょう。
また、Roseliaのモチーフである「青薔薇」も想像を超えた奇跡の存在です。

あゆみ、丸山彩、大和麻耶、羽沢つぐみ、二葉つくし、ロックの「"自分なんか"なんて思わないで」もほぼ同義で、自分を想像上の枠に押し留めず挑戦する(やりきる)ための言葉です。

白金燐子の「小さな一歩」もほぼ同義で、自分が無理だと思う事=想像を超える為の選択です。

八潮瑠唯の「感情に従う」もほぼ同義で、現実に沿った自分の判断=想像を超える為の選択です。

要楽奈の「おもしれー女」はやりきっている女へ向けた言葉です。
お婆ちゃんっ子ですね。

花園たえの「震える」もほぼ同義で、やりきっている相手のキラキラに対するドキドキです。


氷川日菜の「るんっ♪」はドキッと胸が鳴るイメージでキラキラドキドキとおもしれー女の中間くらいの意味です。
ただし、氷川日菜の場合は対象が氷川日菜自身の想像を超えた瞬間に限られます。
氷川日菜は深刻な相互不理解を抱えており、自分と他者が分かり合えないと思っているからこそ他者と繋がれた瞬間=バンド等も対象に含みます。

羽沢つぐみの「ツグってる」は羽沢つぐみがやりきっている状態です。
空回りしようとも今できる事に全力で取り組む羽沢つぐみの性格故に生まれた言葉ですが、現在は「やりきっている」と同義で羽沢つぐみ以外のキャラクターにも使われています。

Afterglowの「何かの始まりにはつぐみあり」は羽沢つぐみが「ツグってる」と何かが始まるというAfterglowの経験則から生まれた言葉です。

若宮イヴの「ブシドー」は本来の武士道の意味に加え、初志貫徹の延長で「やりきる」事も含まれています。
信念を貫くという意味では宇田川あこの「カッコイイ」とも近い言葉です。

瀬田薫の「儚い」は「あはれ」と近い意味で、作中では万物に対して使われていますが、全ての物事は変化しているので今この瞬間を肯定する言葉とも言えます。
瀬田薫本人は深い意味は無く使っていますが瀬田薫自身が変化する道を選んだ過去があるため、絶妙に理屈が通っています。
瀬田薫が好むシェイクスピアでさえ、時代や役者・訳者によって変化しながら残り続ける存在です。

ハロー、ハッピーワールド!の「ハピネスっ!ハピィーマジカルっ♪」は想像を超える為の勇気を与える呪文です。

Afterglowの「いつも通り」はAfterglowの変化に伴い「新いつも通り」が生まれていることから、変化も受け入れ今を肯定する言葉です。

Roseliaの「誇り」は自己の過去と選択に向き合い、今を受け入れ、肯定する言葉です。

Morfonicaの「貴方の輝きが道を照らす」は自己の"今"を認識し肯定することが前提の言葉なのでやはり"今"に軸を置いています。

MyGO!!!!!の「迷子でも進め」も迷子であることを自覚するプロセスで現在地である"今"を正しく認識する必要があり、それを前提に先の道が分からなくても突き進む=やりきるための言葉です。

「希望が分からなくて
居場所と一緒に"今"も見失っていた、あの日」


要楽奈 / BanG Dream! 12th☆LIVE DAY2 MyGO!!!!!「ちいさな一瞬」

また「一瞬一瞬で一生」も文字通り今の積み重ねを肯定する言葉です。

Ave Mujicaの「歯車」ですら、過去とも未来とも切り離された刹那的な人生観ながらも今を重要視する概念です。

「瑠奈、私たち何度でも生まれ変わるの!


プレリュードもマスカレードも続いていく。
終わって、また始まって、
今が一番古くて
今が一番新しいの。


だから、今を楽しまないといけないの!」


カクセイヘノウタ -招待- / 莉伽

……これだけ書けば十分でしょうか。

それぞれの夢への目線とただ一つの今への目線、この両輪がBanG Dream!のストーリーの原動力です。
そして一期一会なライブはまさしく"今"の集合体であり、バンド作品のテーマとしても相応しいです。
群像劇であるBanG Dream!を1文で言い表すならば「夢を目指すガールズバンドの今を描く作品」となります。



作中で絶えず積み重ねられる"今"が描かれているからこそ、私はもっと多くの人に今(2024年1月現在)のガルパを見て欲しいと思いこのブログを書いています。

ガルパの読み方

導入が長くなってしまいましたが、ここからはガルパの読み方を提案していきます。
先述の通り、ガルパの今=シーズン3の入り口であるメインストーリー(シーズン3)に着手するには、『卒業 ~3月の空は青く澄んで/未来へ~』まで辿り着かねばなりません。
『卒業』は花咲川女子学園と羽丘女子学園それぞれの湊友希那世代計10人の卒業式を描いたイベントストーリーなのですが、ロック以外別の学校であるRAISE A SUILENや全員が月ノ森女子学園のMorfonicaも卒業生と関わりのある全員が登場しており、ガルパ6年分の文脈がここに収束していると言っても過言ではありません。

なのでまず最初にゴール地点として、流石にこれだけ読めば『卒業』の95%は楽しめるだろうと消去法でつくったものから紹介します。
(縦長になってしまいすみません…)

卒業コンプリート







多いですね~
とはいえこれでも90本削って130本まで絞っており、縦軸横軸満遍なく楽しめる内容になっています。
特に練度の低い初期のイベントは削っており、以降のストーリーにほぼ関わりの無いPoppin'Partyのバンドストーリー1章も抜いています。

少し補足すると、『有咲の"悪くない"休日』など一見重要に感じないストーリーもその後人間関係の基礎として欠かせないものだったりします。
Backstage Pass』は周年のタイミングで各バンドがその1年のストーリーを総括する内容で、ここではバンドストーリー2章以降・シーズン1終わりの区切りとしてちょうどいい内容の『Backstage Pass3』と、アニメ『ガルパ5周年記念アニメ-CiRCLE THANKS PARTY!-』のベースになっていてガルパのゲームとしてのひと区切りである『Backstage Pass5』を採用しています。

『Backstage Pass5』まで辿り着いた方は是非ガルパ5周年記念スペシャルコンテンツに目を通してみてください。
anniv-bang-dream.bushimo.jp

……これは理想形ではあるものの、やはりいきなり130本はハードルが高いという人も多いと思いますのでここからいくつかパッケージで紹介してみます。

ポピRAS

まずは完全にアニメ1~3期の延長で楽しめるPoppin'PartyとRAISE A SUILENのストーリーをまとめたものです。
どちらもアニメで勝手知ったるバンドなので親しみやすく、ガルパのストーリーのクオリティも伝わると思います。

先頭に置いたPoppin'Partyのバンドストーリー2章『二重の虹』は市ヶ谷有咲がアニメ2期の花園たえのように挫折を味わう話で、最終的に先述した""について語られるストーリーです。
(時系列はアニメ2期より前です。)

あの日のキラキラ 覚えてますか?
それは もう思い出ですか?
タイムマシンで行く場所は ひとつ
"現在(いま)"しかないんだ!


二重の虹(ダブルレインボウ) / Poppin'Party

バンドストーリー2章以前の初期のガルパはどこかまとまりがなく、これを以ってしっかりとした軸を持てました。
また『二重の虹』で語られる「バンドが壊れたとき」はその他のバンドでも───It's MyGO!!!!!でも───共通する内容です。
なお、初期5バンドのバンドストーリー2章は「キラキラドキドキを取り戻す」「誇りを取り戻す」「いつも通りを取り戻す」「夢を取り戻す」「笑顔を取り戻す」とサイクルになっています。

2番目に置いた『FUN! FUN! CiRCLING FIVESTAR!』はその名の通り先述の楽曲『CiRCLING』の登場時のイベントで、内容は割と平凡なのですが、バンドストーリー3章『Live Beyond!!』の前提なのでここに置いてあります。
また『ホープフルセッション』の前提でもあり、ガルパ全体で見ると大きな流れの始まりの場所とも言えます。

せっかちな人は3番目に置いたバンドストーリー3章『Live Beyond!!』から読んでもいいです。
『Live Beyond!!』は間違いなくガルパの最高峰のストーリーなので「とりあえずガルパの面白い話見せろよ」という人にぶつけるならこれになります。
時系列はアニメ3期以降にもかかわらず、正直他のストーリーと比べるとレイヤーが1段上の存在なのであまり前提を考えずに読めてしまうのですが、当時でもガルパ4周年を背負ったストーリーであり、以降もガルパを読めば読むほど重みが増していく話でもあります。ガンダムで例えたらアクシズショックみたいなものです。
なので最終的に『Live Beyond!!』に帰ってくるという気概で読んでいただければ幸いです。
また、劇場版『BanG Dream! ぽっぴん'どりーむ!』は『Live Beyond!!』と対になっているので併せて観るのもよいかもしれません。

君に伝うメッセージ』はシーズン1の最後のイベントストーリーで、花咲川女子学園の終業式と牛込ゆり世代の卒業が描かれています。
こちらもシーズン2以降のガルパの基礎になる話です。
ベーカリーの明かりは落ちて』はアニメ1期から6年かけて描かれた山吹沙綾の集大成なのでとりあえずのゴールとして丁度いいです。
ただ、Poppin'Partyだけで読み進めるとなるとこれ以上は難しいというのが本音です。

RAISE A SUILENに関してはアニメ3期から地続きなのでバンドストーリー2章『CORUSCATE -DNA-』までスルッと読めると思います。
ですが、シーズン3現在RAISE A SUILENが渦中にいる『G.B.T.編』はRoseliaAfterglowの軌跡の上にあるので裏を返せば「RAISE A SUILENだけ読むとするとシーズン3に進めない」とも言えます。
バンドストーリー1章『RAISE A SUILEN ~御簾を上げろ~』はアニメと同範囲の内容ですが、細かい部分が補完されているのでおさらいも兼ねて読むと面白いと思います。
また、先述の漫画『RAiSe! The story of my music』も併せて読みたいところです。

アフロゼtパスパレ



関わりの深いRoseliaAfterglowを組み合わせ、Pastel*Palettesをタッチした型です。
言い方は悪いですが一言で説明すると環境デッキです。

先述の通りガルパの思想の中心はPoppin'Partyですが、ガルパのストーリーの中心はRoseliaであり、そんなRoseliaを常に意識し成長し続けシーズン3現在ストーリーの中心になりつつあるのがAfterglowです。
また、初期のガルパはアベレージではストーリーの評判があまり良くなく、そんな中で突出した人気を誇ったのがRoseliaの氷川紗夜とPastel*Palettesの氷川日菜の氷川姉妹にまつわるストーリーです。
所謂初期のトップメタなのですが、氷川姉妹からその後のガルパに波及した要素は非常に多く、例えばMorfonicaの八潮瑠唯と広町七深のキャラクター造形は氷川姉妹あってのものです。
なのでPastel*Palettesをタッチし、バンドストーリーと関連ストーリーを補強する形にしています。
AfterglowPastel*Palettesと関係の深い羽沢つぐみを擁していて、ここの関係から以降のガルパに波及する範囲も非常に大きいです。

更に、RoseliaPastel*Palettes花咲川女子学園の生徒会長と羽丘女子学園の両生徒会長のストーリーが揃うため、ここに必須パーツの『マイ・ファーストステップ』を合わせることで『卒業』に辿り着く妥協案にもなっています。
マイ・ファーストステップ』はRoseliaで成長した白金燐子をPoppin'Partyで成長した市ヶ谷有咲とハロー、ハッピーワールド!で成長した奥沢美咲が追いかける内容であり、Poppin'Partyとハロー、ハッピーワールド!抜きだと片手落ちにはなってしまいますが、それでも『卒業』を70%くらいは楽しめるはずです

ハロハピ単

ハロー、ハッピーワールド!を20本にまとめたものです。

旅立つ人へ』が区切りとして丁度良いので、ハロー、ハッピーワールド!に興味がある方は一旦ここを目指してみるのはどうでしょうか。
ハロー、ハッピーワールド!は他のバンドとは違い、コンテスト形式のライブやメジャーなどの競争の場に関わらない独自路線なので単体で楽しむポテンシャルが高いです。
テーマの近いPoppin'PartyですらアニメでG.B.C.に挑戦していますからね。

白鷺千聖抜きで瀬田薫を読むのはやはり片手落ちではあるので、興味が湧いたらPastel*Palettes触れてみるとよいと思います。

バンドストーリー3章『にこにこねくと!』の前に置いてある『ハロハピ座を探しては』はカードエピソードであり、自己満足で書いただけなので無視して貰ってもいいですが、抵抗無ければYouTubeなどで検索してみてください。
『サンタがうちにやってくる』や『はぐみとハッピーダイナソー』など突拍子の無い話も多いですが、「夢を守るのがヒーロー」を念頭に置くと読みやすいと思います。
なお、『旅立つ人へ』の次は先述の『マイ・ファーストステップ』そして『卒業』と続き他バンドの文脈と収束します。

モニカ単

Morfonicaを10本にまとめたものです。

そして、始まるわたし/私の音』が区切りとして丁度良いので、Morfonicaに興味がある方は一旦ここを目指してみるのはどうでしょうか。
Morfonicaは後発バンドで学校も別なこともあり、コンパクトに楽しむことができるので「とりあえず分かるバンドを1つ増やしたい」という人にはオススメです。

『そして、始まるわたし/私の音』まで読んだならRoseliaに触れる理由ができると思います。
また、『ガールズ・ビー・アンビシャス!』はPastel*Palettesのバンドストーリー1章→『ジブン、アイディアル』→『ホープフルセッション』が根底にあるストーリーなので、気になった方は先述の「アフロゼtパスパレ」に挑んでみてください。
ここの文脈はシーズン3の『エフォート・インフレーション!!』まで続く重要な流れになっています。
『リトルローズ・ハーモニー』は宇田川あこ・ロック・戸山明日香の仲良し3人組に倉田ましろが加わる話で、ここで生まれた人間関係は以降何度も登場する基本パーツになります。

パスパレ単

Pastel*Palettesを20本にまとめたものです。
自分で作っておいてなんですが、この読み方は微妙かもしれません…
RoseliaAfterglowが構造上不可分というのは自明なのですが、最も他バンドと複雑に絡んでいるバンドはこのPastel*Palettesだと思います。
とはいえ、バンドストーリー3章『TITLE IDOL』は『Live Beyond!!』並みのウルトラCなので、とりあえずここまで読んでガルパのモチベーションにするのはアリだと思います。

ハロパスtロゼリア



Pastel*Palettesハロー、ハッピーワールド!を組み合わせ、Roseliaをタッチした型です。
先述の「アフロゼtパスパレ」の対になるものとして考えてみました。

ハロー、ハッピーワールド!にはPastel*Palettesと関係の深い松原花音と瀬田薫がいるため相性が良く、そこにRoseliaの本筋と白金燐子の関連イベントを加えて『卒業』まで手がかけられる形にしています。
Afterglow抜きで『ブライア・ロード』と『卒業』に進むのはやはり片手落ちではありますが、Pastel*Palettesハロー、ハッピーワールド!Roselia卒業生10人と両生徒会長が揃っているので、こちらも『卒業』を70%くらいは楽しめるのではないでしょうか。

Episode of Roselia × Afterglow


ここまで一切名前を出していなかったの気になっていた方もいたかもしれませんが、Roseliaのストーリーは劇場版『BanG Dream! Episode of Roselia I : 約束 / II : Song I am.』として映像化されており、2024年1月現在はAmazon Prime VideoU-NEXTの定額見放題などで見ることができます。
せっかく映像化されているものを生かさない手はないので、これとAfterglowをセットで楽しむプランを考えてみました。

そもそもRoseliaにはノーブル・ローズ3部作というバンドストーリー2.5章的な立ち位置のイベントストーリーがあり、そこまでアニメ化しようというのがこの映画です。
『Episode of Roselia I : 約束』の内容は
・バンドストーリー1章『青い薔薇芽吹く』
・バンドストーリー2章『Neo-Aspect
・『ノーブル・ローズ -花々を連れて-』
『Episode of Roselia II : Song I am.』の内容は
・『ノーブル・ローズ -晦冥の導き手-』
・『ノーブル・ローズ -歌、至りて-』
となっていて、これら間にあるイベントストーリーもダイジェストで少しだけ描かれています。
ここにAfterglowのストーリーやダイジェストで飛ばされたストーリーを組み合わせることで最終的にRoseliaの大サビである『ブライア・ロード』まで読み進めることができます。

劇場版『I : 約束』の後に『秋色ハートフルレター』までを読み、『II : Song I am.』の後に『潜熱、空を焦がして』から読み始めるといい感じになります。
映画は尺の都合上かなり駆け足なので、後から補足も兼ねてガルパの『Neo-Aspect』や『ノーブル・ローズ』に目を通してみるのも面白いと思います。

聖書

BanG Dream!のタイトルである「BanG Dream!=夢を撃ち抜け! 」はBanG Dream!の原典である『BanG_Dream!*8』で語られた言葉です。

この原典のPoppin'Partyはアニメ化以降のPoppin'Partyとは全くの別人で、主人公の戸山香澄は引っ込み思案でいつも下ばかり見ている女の子です。

コミカライズもあります

この原典の戸山香澄(かすみん)のキャラクター造形は倉田ましろや高松燈に継承されています。*9
原典でのPoppin'Partyは「In the name of BanG_Dream!=バンドリの名のもとに」という言葉に導かれ、奇跡的/運命的にバンドを結成します。
この「BANG! DREAM!」とは初期衝動を思い出すための合言葉的なニュアンスです。
アニメ化以降「夢を撃ち抜け!」というフレーズはしばらく作中に現れず形骸化していましたが、アニメ3期で再登場し、『ぽっぴん'どりーむ!』&『Live Beyond!!』で現Poppin'Partyの言葉に再定義されました。

ガルパと世界観は地続きでないものの『BanG_Dream!』のDNAはBanG Dream!のシリーズ全体に受け継がれているため、歴史から学びたい方や活字に抵抗の無い方はここからスタートしてみるのもアリだと思います。
私が原典の小説を読んだのはアニメ1期の最終話直後でしたが、読了後に改めてアニメ1期を見ると戸山香澄が気兼ねなくクラスの中心になっていることなどが味わい深くなり「2周目」の世界のPoppin'Partyとして楽しめるでしょう。

あとがき

いかがでしたか?
12月にこの記事を書き始めたのに気付いたら2月も末になってしまいました。
本当は90本どころではなくもっと絞ったものを紹介したかったのですが一向に進まなかったので、そもそもこの試み自体私には向いていなかったかもしれません…

そして何故些細なイベントストーリーも省けないものに感じてしまうのか考えてみたところ、「ガルパ自身が小さな縁も大切に扱っているから」という結論に至りました。

例えば最初期のハロー、ハッピーワールド!のイベントストーリー『怪盗ハロハッピーと豪華客船』はまだ弦巻こころと瀬田薫のキャラクターが固まっていないのもありかなり大味な内容なのですが、ここで生まれた怪盗ハロハッピーというキャラクターは5年後の『怪盗ハロハッピーともう一人の怪盗』で再び登場し、ストーリーとして奥沢美咲の成長を描くこと、メタ的には真に「夢を守る」ためにヒーローの「自己犠牲」を否定することに貢献しています。

最初に「読み方に決まりは無い」と書いた通り、この記事はあくまで提案に過ぎません。
ですが、ここまで読んでいただいたのも何かの縁。
この記事がバンドリに親しむきっかけになってくれれば幸いです。

ガルパは今年3月に7周年、シリーズ全体では2025年に10周年を控えています。

7年前、氷川日菜の誕生日限定セリフが1人分ズレていた頃は、このゲームがここまで長く続くことは想像もできませんでした。


想像以上の飛躍を見せてくれたガルパ、そしてバンドリの今後の展開にも期待したいものです。



・良ければフォロワーの記事も参考にどうぞ

halkenborg.hatenablog.com
halkenborg.hatenablog.com
note.com
youseitutor.hatenablog.com

・バンドストーリー3章の時の特設サイトも参考にどうぞ
bang-dream.bushimo.jp

*1:キリが無いので今回は触れません。イベントと紐づいたガチャやイベント報酬のカードのエピソードは、イベントの幕間や後日談になっています。

*2:ちなみにIt's MyGO!!!!!に登場する「ア・テンポノート」がa tempo(元の速さで)を冠しているのはこのAfterglowの生い立ちのエピソードの美竹蘭のノートに由来していると考えると美味しいです。

*3:厳密には舞台『We are RAISE A SUILEN~BanG Dream! The Stage~』の初日の出のシーン

*4:drumsmagazine.jp realsound.jp

*5:penguindrum.jp

*6:過去記事書いたのが5~9話時点でこの言葉が未登場だったのでこれを人形化と対比させられなかったのがちょっと悔しいです。

*7:「燈が好きそう」とか言ってストレージにあるのを10円で買う椎名立希概念。実際に燈が好きなのは《ウォー・アース》なので微妙な反応。

*8:アンダーバーの有無でエヴァンゲリオンヱヴァンゲリヲンくらいの違いがあるので気をつけてください。

*9:ちなみに原典の牛込りみ(シューレスニンジャガール)のキャラクター造形はなぜかVoice&Stories(ボイスト)に継承されました。 なんで???? 冥 - 【公式】ボイスト Voice & Stories - 新感覚メディアミックスプロジェクト